臨床の学び舎おんせいげんご BLOG

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光華おんせいげんご 再開

2020年9月19日(土)の14:00~17:00、京都アスニー 第4研修室B(JR円町駅から約800mほど)にて、光華おんせいげんごを開催したしました。

参加人数は…5名でしたね。3密とは程遠い状況で、しっかりとソーシャルディスタンスを保って開催しました。

 

詳細をお伝えしたいのですが・・・この記事を書いている古田がケガしてましてあまり長い間、PCが打てないので、ぼちぼち更新します。

 

演目は以下の通り。

〈演目1〉
いわゆる「私、滑舌が悪いんですよ」という方の音声を評価してみます。(担当:古田)

〈演目2〉
耳鼻科にて補聴器のFittingをはしゃいでいます。(担当:西岡)

〈演目3〉
ジャルゴン失語に対する母音を中心とした聞き取り訓練の経過(担当:英)

 

演目1

私、古田です。(いつも通りですが)準備が不十分でしまりのない演目になりました。その「私、活舌が…」の対象は元総理のA氏です。Soundspectrogramを使って、Youtubeから持ってきたA氏の音声を分析しました。そこには聴覚的に抱いていたイメージ以上の混沌が待ち構えていました・・・。個人的に「き」などの側音化構音を引き合いに出して、A氏の摩擦音の調音位置と乱流雑音の周波数分布くらいを説明して…と思っていましたら、母音までもが、それはそれは自由で個性的でした。その詳細をこの場で説明するには至らず・・・(^^;)。すいませんが、持ち越します。

 

演目2

初登場の西岡氏。大阪の医療センターの耳鼻科にてSTさんをされています。まずは彼の自己紹介から入って、耳鼻科で働くSTの業務内容、心得などを紹介してくれました。彼は聴力検査などヒトの機能を数字で表せることの魅力を解く一方で、その先にあるヒトのコミュニケーションの奥深い魅力を感じている人物。音声言語に橋掛かる理系と文系の狭間をさ迷うことに学問的な快感を覚えているように思う。今回の演目では、最終、特定の音韻の検査の際、ただボリュームを上げるだけで他の音韻に聞こえてしまう事があるという点についての議論を参加者で楽しみました。例えば「た」のボリュームを上げると「か」に聞こえてしまう、「は」のボリュームを上げると「た」あるいは「か」に聞こえてしまう・・・というものです。もちろん、参加者もその聴覚検査用のデータを聞かせてもらったのですが、確かにそういう雰囲気がするんです。その音声データはNHKアナウンサーのものすごく明瞭な発音を録音して作った格式あるシロモノ・・・これは面白かった。ローカス理論など日本語の音韻知覚モデルまで引き合いに出して、自由な議論に興じました。この件、西岡氏と古田氏でTwitter-siteで引き続き議論しようかと思っております。

 

演目3

英さんの演目。かねてから英さんの演目に登場する症例さんの、更にPower upしたその後を報告してくださいました。いわゆるジャルゴン失語と分類される方が、ふたたび、その発話において「音韻」が分化していく経過をわかりやすくまとめてくださいました。(特に古田氏の個人的嗜好のような演目に時間を割いたので)今回は残念ながら時間切れとなってしまいましたが、この報告、興味深いですよ。次回、改めてご報告いただけるそうなので、「失語症の経過って、ほんとのところ、どうなるん?」って、日々の関わりの中で思っている方!ぜひ、次回、ご参加いただけたらと思います。

(学会とかそういう狭小な時間枠ではお伝えできない1時間級の大作です。そう考えると、「おんせいげんご」は勉強会の形式的なことよりも演目の内容を重視って感じですね。こういうすごいのをゆっくりと学ばせて頂ける機会があるというのは良いですね~(^^))

 

皆様からのコメント、演目の希望、お待ちしております。