前回は語の概念の構造(の段階)について学びましたが、今回は同じ第ⅳ講の「人工的概念の形成法」という項から読みました。ヴィゴツキーが提案した以下のような実験が、紹介されています。
形・色・大きさが異なる立体をいくつか並べ、分類するように求めます。
それぞれの立体には、その立体の複数の特性(例えば、「小さくて偏平な」)を示す概念を表す人工語(新語)で名前が付けられていますが、分類を求められた被験者は、その語がどんな概念をもつ語なのか知らないので、推測して考えることになります。
例えばある立体(円柱)に「ラス」という語が書かれていて、円柱は「ラス」なのかと仮説を立てて別の円柱を見ると、「ラス」ではなく「クン」と書かれていた。そのため、別の仮説を立てる必要がある。という手順です。
例:図中の「△」が示している可能性が高い概念は何だろう?
このような実験によって、被検者が情報をもとにどのように人工的概念を作り出していくのか、の分析が可能になり、十分な知的な能力をもっているヒトは、次々と一連の仮説をつくり出し、それらを現実と照合し、誤った仮説を捨て、新しく作り変えていくということが明らかになったと述べられています。
知的能力が十分でない被検者では、対象の特性を分析しようとしない→一つの安定した特性を抽出できず、抽象された概念が形成できないという状況が観察されます。
より高次な過程(人工語で表された抽象的カテゴリーを論理的に説明しようとする)では、被検者は語でいくつかの特性を表してみて、概念を探し出そうとするーーーつまり、概念を形成する操作は言語を介して行われるということです。
今回は、このような実験によって、概念の形成をもたらす心理活動の「方略」が研究されてきたという経緯について、学びました。
次の第Ⅴ講では、語の「意味場」の分析について述べられているようです。
楽しみにしたいと思います。
次回の「ことのわ会」は5/28(土)となっております。
言語学、心理学を深めたいという方はぜひご参加ください。詳細はHPをご確認ください。